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竹永 秀信; 大山 直幸; 藤田 隆明; 山田 弘司*; 西村 清彦*; 田中 謙治*; 坂本 隆一*
Annual Report of National Institute for Fusion Science; April 2003 - March 2004, P. 12, 2003/10
JT-60UとLHDにおいて、高密度領域での閉じ込め劣化及び粒子輸送について比較した。高密度領域での閉じ込め劣化に関しては、回転変換から求められる等価的なヘリカル系でのグリーンワルド密度とISS95スケーリングからの改善度との関係を磁気軸3.6mのLHDプラズマにおいて調べた。LHDでは最外殻磁気面近傍で回転変換が急激に増加するため、LHDでの密度限界スケーリング近傍のデータでもグリーンワルド密度比(f)は0.6程度にとどまっている。閉じ込め改善度は、f0.1ではfが大きくなるにつれて低下する傾向にある。JT-60UのELMy Hモードプラズマでは、f0.3-0.4でLモードからの閉じ込め改善度の低下が同様に観測される。粒子輸送に関しては、磁気軸3.9mのLHDプラズマにNBとEC加熱を行った場合とJT-60UプラズマにEC加熱のみを行った場合の比較を行った。LHDではホローな密度分布が観測されており、外向きの対流速度があるものと思われる。ガスパフモジュレーション実験から粒子輸送係数の導出を試みたが、変調成分の振幅と位相の両方の分布を満足する拡散係数と対流速度は得られなかった。一方、JT-60Uではピークした密度分布が観測されており、中心部に粒子源がないために内向き対流速度が存在していると考えられる。
竹永 秀信; 東島 智; 大山 直幸; Bruskin, L. G.; 小出 芳彦; 井手 俊介; 白井 浩; 坂本 宜照; 鈴木 隆博; Hill, K. W.*; et al.
Nuclear Fusion, 43(10), p.1235 - 1245, 2003/10
被引用回数:71 パーセンタイル:88.59(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの負磁気シア及び高モードプラズマにおける内部輸送障壁(ITB)での粒子と熱輸送の関係について系統的に調べた。ヘリウムと炭素はITB内側で蓄積しないが、重不純物のアルゴンはITB内側で蓄積することを明らかにした。ヘリウムの拡散係数とイオンの熱拡散係数は、高モードプラズマでは、新古典値より5-10倍程度大きく、異常輸送が支配的である。負磁気シアプラズマでは、ヘリウムの拡散係数はイオンの熱拡散係数とともに、異常拡散が支配的な領域から新古典値程度まで減少する。炭素及びアルゴンの密度分布は、イオンの熱拡散係数が新古典値程度まで減少していても、新古典理論から計算される分布より平坦であり、炭素,アルゴンの拡散係数は新古典値より大きい。高モードプラズマに電子サイクロトロン加熱(ECH)を適用した場合に、密度と中心部の軟X線強度が顕著に減少し、アルゴンが中心領域から吐き出されることを見いだした。このとき、密度のITBはほぼ無くなっており、それにより新古典理論で予測される密度勾配によるアルゴンの内向き速度が減少する。負磁気シアプラズマでは、ECHによる明確な密度及び軟X線強度の減少は観測されなかった。このことは、不純物の蓄積を抑えるためには、密度勾配の制御が重要であることを示している。
竹永 秀信
プラズマ・核融合学会誌, 79(8), p.790 - 804, 2003/08
トロイダルプラズマにおける粒子輸送解析手法についてまとめたものである。粒子束を拡散項と対流項の和で表す粒子輸送モデルを導入し、それらの特性を表す粒子拡散係数と対流速度を評価するために必要な実験手法及び解析手法について説明した。まず最初に、プラズマ内の粒子バランスについて述べ、粒子輸送モデルを説明した。さらに、そのモデルを用いて、簡単な場合の密度分布について考察し、粒子拡散係数と対流速度及び粒子源分布によりプラズマ密度分布が決定されていることを示した。次に、粒子輸送解析に必要な粒子源の評価について、水素原子密度測定法とプラズマ中の水素原子・分子挙動をモデル化したモンテカルロ法によるシミュレーションを組み合わせた解析手法を説明した。これらをもとに、粒子拡散係数と対流速度の導出方法について、解析例を示しながら密度勾配と粒子束の関係を用いた手法,電子密度分布の時間発展計算による手法、及び定常解と摂動法を組み合わせた手法を説明した。また、不純物輸送に関しても、不純物ガスパフ変調法と不純物密度分布の時間発展計算による手法について説明した。
竹永 秀信; 永島 圭介; 逆井 章; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏; 久保 博孝; 東島 智; 及川 聡洋; 白井 浩; 藤田 隆明; et al.
Nuclear Fusion, 39(11Y), p.1917 - 1928, 1999/11
被引用回数:22 パーセンタイル:57.65(Physics, Fluids & Plasmas)核融合炉においては出力制御のために十分な密度制御性を確保することが必要であり、そのためには粒子閉じ込め特性の把握が不可欠である。本論文ではNBIにより中心供給した粒子の閉じ込め時間と、リサイクリング及びガスパフにより周辺供給した粒子の閉じ込め時間を個別に取り扱う新しい手法を用いてELMyHモードプラズマにおけるセパラトリックス内のイオン総数に関するスケーリング則を導出した。また、スケーリング則と実験値の比較から負磁気シアプラズマでの粒子閉じ込め改善を定量的に評価した。さらに、粒子拡散係数と対流速度をヘリウムガスの変調入射実験で評価した。その結果、内部輸送障壁において、粒子拡散係数がその内側、外側領域に比べて1/5~1/6に減少していることを明らかにした。
竹永 秀信; 逆井 章; 小出 芳彦; 坂本 宜照; 久保 博孝; 東島 智; 及川 聡洋; 白井 浩; 藤田 隆明; 鎌田 裕
プラズマ・核融合学会誌, 75(8), p.952 - 966, 1999/00
JT-60Uの負磁気シア及びELMy Hモードプラズマでの粒子輸送を、数種の不純物に対して解析した。まず、ガスパフの変調入射実験からネオン及びヘリウムの粒子輸送係数を求めた。さらに密度勾配と粒子束の関係から、負磁気シアプラズマの内部輸送障壁での炭素の粒子輸送係数を評価した。求めた粒子輸送係数を用いて不純物密度分布の時間発展を再現できることを示し、評価の妥当性を確認した。求めた粒子輸送係数の比較から、負磁気シアプラズマの内部輸送障壁での粒子輸送について以下の結果を得た。(1)EMLy Hモードプラズマに比べて粒子拡散係数が一桁程度小さいこと。(2)不純物の種類によらず粒子拡散係数はほぼ同じ値である。(3)内向き対流速度は、高い電荷数を持つ粒子のほうが大きい傾向にある。
竹永 秀信; 永島 圭介; 逆井 章; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏; 久保 博孝; 東島 智; 及川 聡洋; 藤田 隆明; 鎌田 裕; et al.
Fusion Energy 1998, Vol.2, p.749 - 752, 1998/10
JT-60Uにおける粒子閉じ込め及び粒子輸送を定量的に解析した。NBIにより中心供給された粒子とリサイクリング、ガスパフにより周辺供給された粒子の閉じ込め時間を分離して定義し、ELMyHモードにおけるイオン総数に対するスケーリング則を導出した。中心供給粒子の閉じ込め時間は密度と共に増加し、周辺供給粒子の閉じ込め時間は密度と共に減少することを明らかにした。また負磁気シアプラズマでは、スケーリング則に対して約2倍程度粒子閉じ込めが改善していることを明らかにした。さらに、ヘリウムガスのモジュレーション実験から、負磁気シアプラズマ及びELMyHモードでの粒子拡散係数と対流速度を評価した。負磁気シアプラズマにおいては、内部輸送障壁近傍で、その内外領域に対して粒子拡散係数が、1/5~1/6に減少していることを観測した。
竹永 秀信; 永島 圭介; 逆井 章; 及川 聡洋; 藤田 隆明
Plasma Physics and Controlled Fusion, 40(2), p.183 - 190, 1998/00
被引用回数:41 パーセンタイル:77.36(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60U負磁気シアプラズマでは、電子密度・温度、イオン温度分布に内部輸送障壁と呼ばれる急峻な勾配が観測される。温度勾配に関しては熱拡散係数の減少で説明されるが、密度勾配に関しては、(1)粒子拡散係数の減少、(2)内向き対流速度の増加、もしくは(3)両効果によることが考えられ、粒子拡散係数と対流速度を分離して評価する必要がある。本論文では、JT-60U負磁気シアプラズマにおいて、ヘリウムガスを用いたモジュレーション実験により、粒子拡散係数と対流速度を分離して評価した。その結果、内部輸送障壁近傍で内側領域に対して、粒子拡散係数が約半分程度になっていること、また、対流速度も、内側領域で外向きなのに対して、内部輸送障壁近傍で内向きになっていることが明らかになった。このことは、急峻な密度勾配が粒子拡散係数の減少と内向き対流速度の増加の結果として形成されていることを示唆している。